晩年は人生の答え合わせ

日常

近年は、終活や墓じまいといった言葉をよく耳にするようになりました。
超高齢化と少子化が加速する現代では、前もって自分なりに人生の閉じ方を考えたり、後に遺る人たちに迷惑をかけないよう様々なことを整理し準備しておくことはとても良い傾向かと思います。
終活が射程距離に入ってきたら、あれもしよう!これもしなくちゃ!と多々感じることもあるでしょうから、できることからコツコツ準備を始められたら良いですね。

一方、私も含めて、若い世代は終活を考えるのはまだまだ当分先の話。
仕事や子育てなど今を生きることに必死な世代ですから、自分の晩年なんて全く想像もつきませんしピンときません。

ですが、そんな若い世代でも日に日に老いは進み、やがては必ずこの世から旅立つのが人生。
終活するのはかなり先ですが、若いうちから穏やかな晩年とスムーズな旅立ちを迎えるためにはどんなことが大切か、ということを知っておいても無駄にはなりません。
むしろ、そこに早く気が付き、実行できた人ほど晩年は安泰傾向です。

別の言い方をすると、若い人は晩年になるまで持ち時間がまだたっぷりありますから、人生は自分次第でいくらでも変えられるということです。
反対に、すでに晩年、超晩年に入っている方は、正直なところ人生を大きく変えるだけの時間が足りません。どんなに自分の人生を悔いても、それをリカバリーさせるだけの余力も残っていない。
残酷ですが、それが現実です。
だからこそ、若いうちにどう生きてきたか?ということが重要で、今までの生き様に対する答え合わせが晩年になって自分に結果してくるのです。

人生には何が必要か?

穏やかな晩年を過ごすために必要なものは?と聞かれて真っ先に思い浮かぶのが、ゆとりある暮らしのために貯蓄!とか、健康維持のために食生活を気を付けて運動も頑張ろう!といったことではないでしょうか?
もちろんお金も健康も大事ですが、それらは目に見える表面的なことで安定した晩年を過ごすための一要素にしか過ぎません。

もっと人生に必要なものは、【運と人】です。

しっかり貯蓄をして健康維持に注意を払っても、運が悪ければ(過去の方罪が大きければ)いくらでも病気にはなるし、流行りの詐欺に遭ったり、予想外の問題に老後苦しむかもしれない
であるから、運全体の底上げが大きな意味を持つのです。
どの年代においても運の底上げは重要ですが、特に晩年、超晩年と進むに従って体力も運気も下降してくるため、その落ち込みをカバーするために改運は大切な晩年対策となります。


そして、自分を取り巻く周囲の人々との関係を良好にしておくことも晩年には非常に大切なポイントとなります。
特に、夫婦や我が子、親戚兄弟関係に問題があると、助けてほしいときに助けてもらえない、寂しくても誰も近寄ってこない、という悲しい思いをすることになります。
近い人間関係との拗れは、その原因が根深いことが多いもので、一朝一夕に改善することは少ないでしょうが、自分の老後の面倒を見てもらいたからという打算ではなく、清々しい晩年を迎えるための秘訣として人間関係はクリアにしておくべきです。

また、これは本当に晩年になった時の話になりますが、ヘルパーさんや施設の方との関係も良好にしておきたいですね。
横柄な態度でいるお年寄りも少なからずいらっしゃるわけで、その反動は必ず自分に還ってくるものと思わなければなりません。
自分の思うまま感じるままに周囲の人へ接するほうがその時のストレスは少ないですが、自分もお世話してくださる方もお互い人間ですから、双方が気持ちよくいられるように最低限の配慮はしたいもの。


こんな扱いを受けて!!と怒るなら、ご自分の振る舞いも改めたら?と思うわけですが、それを言っても話が通じない人のほうが多いのでしょうね。
これは晩年になってからではなく、若い方でも必要な心構えです。
運以前の問題として、いつでも思いやりと謙虚さを持っている人は、当然他者との軋轢も少なく、人生に余計な問題が起こりずらい幸運者ですから。

自分の選択が未来を決める

ここで2つの事例を簡単にご紹介します。
お2人の女性は共に90代後半で今もお元気ですが、対照的な晩年を迎えておられます。

Aさんは若いころから当会の鑑定にお越しいただいていたようで、ご結婚せずに仕事一筋で頑張ってこられた女性です。吉方も使っていたためお仕事が順調で、かなりの資産をお持ちです。
そして、80代で終の棲家として高級老人マンションに再び吉方転居されました。
当時の鑑定中、「ここなら100歳も夢ではありませんよ」と父が申していて、女性は笑いながら話半分で聴いていらしゃったように私は記憶しております。

そんなことで、その後もたまにご相談のお電話を頂戴することがあるのですが、耳もしっかりされていて矍鑠かくしゃくとしたご様子にこちらが驚くほど。
いつの間にか、施設の最長老になってしまったとご報告をいただきましたが、お元気で長命していらっしゃるなら何よりのことです。


一方、Bさんはお子さんもお孫さんも多くいらっしゃる方です。
ご主人と2人暮らしのBさんは、息子さん一家が転居する際に同居しないかと打診されたようですが、まだお元気だったBさんはそれを断りました。
さらに年月が過ぎ、今度は息子さんが持ち家する際にも再び同居案がでたそうですが、やはり断ってしまいます。

それから時間が経過し、80代に入ってから必要に迫られて息子さん一家と同居することになったのですが、その時には嫁姑間が上手くいかず、仕方なくご夫婦で施設に入られることとなりました。
お元気で家事も何でもこなされてきたBさんですが、施設ではすることもなくテレビを観るしかない生活では頭が衰えてくるのも仕方のないこと。
ご主人が亡くなられてからはそれがますます進み、コロナ禍も相まって家族の面会が叶わずに認知症は加速します。

息子さんが声をかけてくれた時に、もう少し若い段階で同居できていたらお嫁さんとの関係も忍耐できたかもしれませんが、それはもう後の祭り。
当時のBさんは柔軟に、先のことまで見通せなかったということで仕方のない結果です。

全て自分で選択してきた結果が自分に還ってくる
この当たり前過ぎる因果でも、その渦中にいる方からするとご自分の不運を嘆くのでしょう。

どんな晩年になるかは全て自分次第です。
晩年になってから焦っても、取り得る対策は少なく、間に合わないことのほうが多いのも事実。
ですから、今、この若いうちにできることをやっておきましょう、ということを本日はお伝えしました。

遥か未来の話ですが、いつか自分がこの世を旅立つときに思い残すことなく、心おきなく昇天していけたら、それは幸せな人生だったと言って良いのではないでしょうか。

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