遠回りすることの意味

子育て

今月、娘が高校を卒業しました。

コロナと同時に始まった高校生活。
3年間もずっとマスクで過ごしてきたからでしょうか。
卒業式の写真撮影でもマスクを外さない生徒が非常に多かったのが印象的でした。

さて、平時でも非常に繊細なのが思春期の心。
それが、コロナになってからより心身が壊れやすくなってしまった生徒が全国的に増えてしまったようで、娘もその一人でした。

たまたま娘の希望高校が吉方だったので私も非常に楽しみだったものの、彼女の運気が一時的に低下する時期とコロナがピッタリ重なってしまったことで予想外の展開となり…。
基本性格が真面目ということもあって、何事も頑張れば頑張るほど自分を追い込む結果となってしまいました。

生徒がみな同じ事をやっていても、それによって心身に受ける負荷の度合いは人それぞれ
それは、運の盛衰が人によって違うことも関係しており、生活全般に影響してきます。(大人も同じ)
娘は心も体も追いつかないほど疲弊し、疲れ果てる毎日。
再び体調を崩し、段々と学校から遠のいてしまいました。

秋頃には完全に登校できなくなってしまったわけですが、中学でも同じような経験をしていたこともあって、私は何となく今後の心構えができていました。
結果的に、娘が体調を考慮して通信制高校への転入を検討してからは、一気に話が進み早かったですね。

別世界の天国

何校も見学に行った結果、非常に好印象だった高校に冬頃転入。
またしても吉方入学となり、私としては心底ホッとしたのを覚えています。

その学校の印象はというと、正に別世界!
何が違うって、前高校の先生方しか知らなかった私たち親子からすると、温かくすべてを受け入れてくださる神様のような先生方のオンパレードだったからです。
オーバーじゃない?と思われるかもしれませんが、2つの高校に通った娘からするとそれほど天と地の環境差に衝撃を受けたからです。

それくらい前高校の先生方は昔ながらの先生!という方が多めで、生徒に寄り添う…とか、臨機応変で柔軟に物事を捉えるというような印象は皆無でした。
だから、心身がやられてしまう生徒も少なくなかったし、事実、転校する子も意外といたのです。

そのように聞くと、今の子は芯がない!とか、メンタルが弱すぎる!って思う方もいらっしゃるでしょう。確かにそう感じる部分もありますし、事実、うちの娘と息子は豆腐メンタルです。苦笑

そうなる根本原因は星命や育った家庭環境からの影響もありますが、子供を取り巻く環境そのものが昔とは大きく異なっていることも非常に大きいと感じます。

私が高校生だった20年以上前は、SNSもなく不必要にストレスに晒されることも少なかったし、学校生活において常時何かに追われていることもありませんでした。
今思い返せば、とても生きやすい時代だったから楽しかった思い出ばかりなのだと思います。

それが今は、スマホが誕生したことで生活は大変便利になりましたが、その反作用も凄まじいものがあって、敏感な思春期にはそれが大きなストレスの因となることも否定できません。
また、高校入学早々に次の進路の話が出てくる時代。
何とかなる!は許されず、常に急かされるような学校生活。
側で見ていて、自分が生きてきたあの時代とは明らかに違っていて大変だな…というのが正直な感想です。

もっと力を抜いて、良い意味で適当に立ち回れる子ならそこまで追いつめられることもなかったでしょうが、娘はそれができずに心が折れてしまいました。
ですが、崖っぷちまで追いつめられたことで【環境を変える】という選択することができました
限界までいかなければきっと転入することなんて考えもしなかったはずですから。

結果的に学校を変えてから徐々に彼女らしさを取り戻し、2年生からは学生スタッフとして活躍。
卒業式では2つの賞で表彰されたほど回復できたのは、あの高校で再スタートができたからです。
当時は不安だらけの転入でしたが、終わってみるとあの選択をしたから娘は生き返ることができたのだと強く感じました。

既定路線から外れたって良い!

親の立場からすると子にこうあってほしい、という思いはどんな場面でもあると思います。
それは一般的に高校進学や大学、就職、結婚など尽きることがありません。

私も、娘が希望した高校だったのできっと楽しい学校生活を送るのだろうな!と想像していたのが不登校で180度も方向が変わり、正直、驚きと残念な気持ちと娘の心を考えると無理もないという気持ちが複雑に入り混じったのは事実です。
でも、昔は躓いたら高校中退を選ぶしかなかった時代から、今は大きく変わったことが不幸中の幸いでした。

通信制高校というと親世代はほぼ馴染みがありませんし、中学の先生も好んで薦めません。
けれど、少子化で県立高校は統廃合が進んでいるにもかかわらず、通信制高校は増えている現実を鑑みると、確実にニーズがあって、それによって救われている生徒も多いということですね。

私も娘が転入したことで通信制の概念が変わりましたし、全日制よりも融通がきいたり体調面で不安があっても通えるので、現代の子には非常に合っている学校だと思います。
思い切って移り本当に良かったと思っています。

当時、娘は同級生から後れを取ったり学校が変わったことを非常に恥ずかしく感じていたようですが、
あの苦い経験があったからこそ将来進みたい道が明確になったのだと感じます。
だから、あの経験で遠回りしたことは全て娘に必要なステップでした。
大多数とは少し違った経路を歩みましたが、それが彼女の糧になっています。

自分の人生が思うようにいかないように、我が子の人生も親が望んだ通りにはいきません。
でも、それでいいんです。
子は子なりに経験し、自分で道を決めてゆくのですから親がそれに口を挟みすぎたり阻止してはいけません。

遠回りしたって、時間がかかったって、ちゃんと子なりの道を進んでいく!
そう信じて見守ってあげることが最高の愛情なんだと思います。

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